ウォール・ストリート・ジャーナル紙が6月18日(水)に報じたところによると、関係者の話として、先週インド・アーメダバードで墜落したエア・インディアのボーイング787型機(ドリームライナー)は、墜落時に非常用電源装置が作動していた可能性があると、調査当局は見ているという。
FILE PHOTO: A fire officer stands next to the crashed Air India Boeing 787-8 Dreamliner aircraft, in Ahmedabad, India, June 13, 2025. REUTERS/Adnan Abidi/File Photo
ボーイング社はコメントをインドの航空事故調査局に委ねると述べ、エンジン製造元のGEエアロスペースはロイターのコメント要請に応じなかった。
インドの連邦民間航空省も、ロイターからのメールに即時の回答はなかった。
ロイターはこの報道内容を独自に確認できていない。
問題の非常用電源システムは「ラムエア・タービン(RAT)」と呼ばれ、両エンジンが停止した場合でも、操縦が可能となるよう電力と油圧を供給する。
この初期調査結果は、離陸時にエンジンが正常に作動していたかどうかに疑問を投げかけるものである。墜落したドリームライナーには、GEエアロスペース製のGEnxエンジンが搭載されていた。
このボーイング787-8型機は、英国ガトウィック空港行きで、乗員乗客242人を乗せていたが、離陸直後に高度を失い始めた。乗客のうち1人を除く全員が死亡し、地上でも約30人が犠牲となり、過去10年間で最悪の航空事故となった。
インドの航空安全監視機関は火曜日、エア・インディアのボーイング787機材に対する監視の結果、重大な安全上の懸念は確認されなかったと発表した。
⚙ 技術的な詳細と論点
1. 非常用電源システム(RAT)の作動
- 墜落時、**ラムエア・タービン(RAT)**が作動していた可能性があり、これは通常、両エンジンが停止した際に自動展開される装置です。
- この事実は、離陸直後にエンジンが機能不全に陥った可能性を示唆しています。
2. “Mayday… no power” 通信
- 離陸後わずか30秒で、機体は「電力喪失」を報告するメーデーコールを発信。その後、通信が途絶えました。
3. 機体の整備履歴
- エア・インディアのCEOによれば、当該機体は2023年6月に大規模点検を受けており、次回は2025年12月予定だったとのこと。エンジンも2025年3月と4月に整備済みでした。
4. パイロット疲労の可能性
- 技術的な異常が明確でない中、パイロットの疲労や判断力の低下も調査対象となっています。インドの航空業界では、長時間勤務や不規則なスケジュールが慢性的な課題です。
5. ボーイング787の過去の技術的課題
- 787型機は過去にもリチウムイオン電池の発火やエンジンの信頼性問題、製造工程の不備など、複数の技術的課題を抱えてきました。