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世界に広がる脱ESG

近年、世界的に注目されている「脱ESG(反ESG / ESGバックラッシュ)」は、単なる一時的な流行ではなく、欧米を中心とした政治、経済、エネルギー事情が絡み合った構造的な動きです。

 

 

理念先行だった「サステナビリティの熱狂」が終わり、より現実的な路線へと再定義されるフェーズに入っています。

 

 

1. 「脱ESG」が広がる主な背景と地域別動向
世界における脱ESGの動きは、主に米国での政治的対立と、欧州での経済・安全保障リスクという2つの異なる背景から進んでいます。

 

 

米国:政治論争化と「ESG違法化」への動き

 

米国では共和党や保守派層を中心に、ESGを「リベラル派の行き過ぎた思想(ウォーク資本主義)」であるとして激しく批判しています。

 

 

• 制度的な締め出し: テキサス州やフロリダ州などの保守的な州では、州の年金運用においてESG要素の考慮を禁止する「反ESG法」が成立しました。 

 

• 資金の流出と用語の封印: モーニングスターの調査によると、ESG関連ファンドからはじめて年間ベースで資金が純流出する事態となっています。ブラックロックなどの大手金融機関のCEOも「ESG」という言葉自体の使用をやめると表明し、多くの米企業がアニュアルレポート等から「ESG」や「DEI(多様性・公平性・包括性)」の記述を削減・削除しています。

 

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政治の揺り戻し: トランプ政権の動向に伴い、環境規制の緩和や国際的なネットゼロ同盟(NZAM等)からの金融機関の脱退・活動停止が相次いでいます。

 

 

欧州:経済安全保障と「現実路線」への後退

 

これまで環境規制をリードしてきた欧州でも、インフレによる生活不安やロシア・ウクライナ情勢以降のエネルギー危機を背景に「グリーン・バックラッシュ(環境政策への逆風)」が起きています。 

 

• 法規制の緩和・延期: サプライチェーン全体の人権・環境デューデリジェンスを義務付ける「企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)」の適用延期や、各種開示義務の対象縮小・簡素化が行われています。 

 

• 優先順位のシフト: 「脱炭素」一点張りから、域内企業の国際競争力の維持や、防衛産業(武器製造など)への投資を「社会の安定(安全保障)に不可欠」として容認する方向へ、評価軸が変化しています