お知らせ

繊維が皮膚病変および床ずれの形成と予防に及ぼす影響

繊維が床ずれに影響する仕組み

 

床ずれは、圧力・せん断力(ずれの力)・摩擦・皮膚の水分という要因が重なって皮膚や皮下組織が損傷する状態です。繊維製品はこれらすべてに関わります。

 

 

1. 圧力の分散・集中 寝具やクッション材の素材や織り方によって、体重が皮膚にかかる圧力の分布が変わります。硬い・伸縮性のない繊維は圧力を一点に集中させやすく、逆に体圧分散性の高い素材は圧力を広く分散できます。

 

2. 摩擦・せん断力 皮膚と布地の摩擦係数が高いと、体位変換や寝返りの際に皮膚がこすれたり、内部組織がずれたりして微小な損傷が起きやすくなります。ざらついた生地や化学繊維の中には摩擦が大きいものもあります。

 

3. 皮膚の水分・蒸れ 通気性・吸湿性の低い繊維は汗や尿などの水分を布地内に保持し、皮膚がふやけた状態(浸軟)になります。ふやけた皮膚は損傷に対する抵抗力が下がり、褥瘡ができやすくなります。

 

4. 接触時間 特に体を動かせない(不動状態の)入居者・患者は、同じ布地と長時間接触し続けるため、上記の圧力・摩擦・水分の影響を受け続けることになり、リスクが高まります。

 

 

床ずれを防ぐためのポイント

 

 

* 体圧分散性の高い素材を選ぶ:エアマットレスや低反発素材、体圧分散パッドなど、圧力を広い面積に分散できる寝具・クッションを使用する。

 

* 摩擦・せん断が少ない生地を選ぶ:表面が滑らかで摩擦係数の低いシーツ・衣類を使う。シルクのようななめらかな素材や、専用の低摩擦シーツも有効。

 

* 通気性・吸湿速乾性のある素材を選ぶ:綿や機能性繊維など、汗や湿気を素早く逃がす素材を使い、皮膚を乾燥した状態に保つ。

 

* こまめな体位変換:同じ姿勢・同じ場所への接触時間を減らすことが、繊維の影響以前に最も基本的な予防策です(一般的に2時間ごとの体位変換が推奨されます)。

 

* シーツ・衣類のシワを作らない:シワや縫い目が皮膚に食い込むと局所的な圧力集中の原因になるため、整った状態を保つ。

* 皮膚の清潔・保湿ケア:湿気を残さないよう清拭・乾燥を行い、皮膚のバリア機能を保つ。

 

* 定期的な皮膚チェック:特に骨が突出している部位(仙骨部、かかと、肘、後頭部など)を観察し、発赤などの初期兆候を早期に発見する。

 

要するに、繊維そのものが床ずれの「直接原因」というよりは、圧力・摩擦・湿気という3つのリスク要因を強めたり弱めたりする「媒介役」であり、素材選びと体位管理を組み合わせることが予防の鍵になります。