お知らせ

イラン紛争により化学繊維はどれだけ値上がりするのか?

2026年4月現在のイラン紛争および原油高騰局面において、繊維産業の主要拠点である中国・ベトナム・ミャンマーの3カ国を比較しました。

 

為替レートは現在の1ドル=160円、1元=約23.3円、100ベトナムドン=約0.61円、1ミャンマーチャット=約0.076円で換算しています。

 

化学繊維(ポリエステル等)の値上がり比較表

 

項目

中国(世界最大の生産地)

ベトナム(加工・輸出拠点)

ミャンマー(低コスト加工)

原料(1kg)あたり上昇幅

約52.4円

約60円〜70円

約75円〜85円

主な供給源

自国生産(石油化学から一貫)

中国・韓国からの輸入依存

中国からの輸入依存

電力・製造コスト

石炭回帰により一部抑制

燃料費高騰で15%〜20%増

電力不足による自家発電(軽油)で暴騰

輸送費・物流リスク

海上運賃が2.5倍〜3.5倍

中国からの陸路・海路共に上昇

物流寸断と戦争保険料で数倍

主なリスク要因

リアルタイムの価格改定(1日2回)

原料の輸入遅延による納期遅延

エネルギー危機と政治的不安定

 

 

各国の詳細状況(円換算・2026年4月時点)

 

1. 中国:価格変動の震源地

 

中国市場では、ポリエステル原料の指標価格が3月の約7,000元/トンから**約9,250元/トン(約21.5万円)へと急騰しました。

⁂ 1kgあたりの値上がり: 元建てで2.25元の上昇、日本円で約52.4円のコスト増です。

⁂ 特徴: 供給元であるため、価格転嫁が最も早いです。現地工場では見積もりの有効期限が「当日限り」となるなど、極めて流動的な状況です。

 

2. ベトナム:輸入コストの二重苦

  

ベトナムはテキスタイル原料の約60%以上を中国に依存しているため、中国での値上がり分に「輸送費の暴騰」が上乗せされます。

 

⁂ 製品原価への影響: 原料高に加え、海上運賃やトラック輸送燃料の高騰により、日本への着地価格では1kgあたり60円〜70円の上昇要因となっています。

 

⁂ 特徴: 欧米市場への輸出は好調ですが、利益率が原材料高によって大幅に圧迫されています。

 

3. ミャンマー:エネルギー危機による操業難 

 

ミャンマーは最も深刻な影響を受けています。原料を中国に依存していることに加え、国内の電力不足を補うための**「自家発電用ディーゼル燃料」**が原油高で高騰しています。

 

⁂ 加工賃への影響: 燃料調達コストが跳ね上がり、製品1枚あたりの加工コストは他国より高い比率(15〜25%増)で上昇しています。

 

⁂ 特徴: 経済制裁の影響もあり、物流ルートが限られるため、リスクプレミアム(保険料)が他国より高く、円換算での実質コストは最も高騰しやすい傾向にあります。

 

◆「ポリエステル混」のリスク: わずかな混紡であっても、化学繊維部分のコスト増が全体を押し上げます。

 

包材・副資材: 中国製のポリ袋(ポリエチレン)やボタン(樹脂)も、同様に1kgあたり50円規模の値上がり影響を受けています。