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アトピー性皮膚炎と食事との関係性。科学的根拠に基づく。

科学的根拠に基づくと、アトピー性皮膚炎(AD)と食事の関係は、単なる「原因と結果」ではなく、**免疫系、皮膚バリア機能、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)**が複雑に絡み合った多面的なものです。
最新の研究および診療ガイドラインから得られた主要な知見は以下の通りです。

 


1. 食物アレルギーとの関連


食物アレルギーはアトピー性皮膚炎の直接的な「根本原因」ではありませんが、症状を悪化させる主要な因子となります。



• 対象者: 特に5歳未満の乳幼児や、標準的な治療で改善しない中等症〜重症の患者において、食物アレルギーが関与している可能性が高いとされています。
• 主な原因食品: 牛乳、卵、ピーナッツ、大豆、小麦、魚、木の実が代表的です。
• 注意点: 血液検査(IgE抗体)での「陽性」は単なる過敏状態を示すことが多く、実際に症状が出る「真のアレルギー」ではないケースが50〜90%に達します。確定診断には医師による食物経口負荷試験が「ゴールドスタンダード」とされています。



2. 除去食(制限食)のリスク


根拠のない自己判断での食事制限は、現在では推奨されていません。

 


• 逆効果の可能性: 卵や牛乳などを不必要に避けることで、逆にそれらの食品に対する即時型アレルギー(アナフィラキシーなど)を新たに発症させるリスクが報告されています。

 


• 栄養不足: 過度な制限は、特に子供の成長を妨げたり、皮膚バリアの修復に必要な栄養素を不足させたりする恐れがあります。



3. 症状に影響を与える食事要因


近年の研究では、特定の栄養素や食事パターンが症状の管理に役立つ可能性が示されています。


• ナトリウム(塩分): 2024年の研究で、塩分の過剰摂取(1日あたりわずか1gの追加)が、アトピーの診断リスクを11%、活動的なフレア(再燃)の可能性を16%高めることが明らかになりました。


• 抗炎症作用のある食品: 地中海食(野菜、果物、全粒穀物、魚、オリーブオイル)のような抗炎症的な食事パターンは、体内の炎症マーカーを下げ、症状を和らげる可能性があります。


• ジャンクフード: 高糖質、高脂肪の加工食品(お菓子、揚げ物など)の頻繁な摂取は、症状の重症化と有意に相関しています。

 



4. 腸・皮膚相関とサプリメント

 

• 腸内環境: アトピー患者は、非患者と比較して腸内細菌叢の多様性が低いことが多く、**「腸・皮膚相関」**を通じて皮膚の炎症に影響を与えています。

 

• サプリメントの有効性:
o ビタミンD: 不足している場合、補充することで皮膚バリアを強化し、症状を軽減できるというエビデンスが増えています。

 


o オメガ3脂肪酸: 魚油などに含まれるEPA/DHAは炎症を抑制する効果が期待されます。

 


o プロバイオティクス: 発症の**「予防」(妊娠中や乳児期)には効果が示唆されていますが、すでに発症しているアトピーの「治療」**としての効果は限定的です。

 


ScienceDirect.com +5
アトピー性皮膚炎の管理には、米国皮膚科学会(AAD)などのガイドラインに基づき、まずスキンケアと標準的な外用治療を行い、食事に関しては専門医と相談の上で個別のトリガーを特定することが推奨されます。