お知らせ

GOTSの具体的な収益構造や、過去に起きた「認証停止」の事例(どの企業が、なぜ罰せられたか)

GOTS(Global Organic Textile Standard)の信頼性を評価する上で、

その「資金源(収益構造)」と「自浄作用(不正への対処)」を知ることは非常に重要です。

 

ご要望の通り、GOTSの収益モデルと、過去に起きた具体的な認証停止・剥奪事例

(企業名と理由)について深く掘り下げます。

 

1. GOTSの収益構造(誰が運営費を払っているのか?)

 

GOTSを運営するのは、ドイツに拠点を置く非営利組織「Global Standard gGmbH」です。

 

GOTSは特定の企業や政府からの寄付に依存せず、

認証制度を利用する事業者からの手数料で運営される「受益者負担」

のモデルを採用しています。

 

具体的な収入源

 

1. ライセンス料(Annual Fee)

 

* GOTS認証を取得したすべての施設(工場、倉庫、ブランドなど)に対し、

1施設あたり**年間150ユーロ**(約2万4千円前後)のライセンス料が課されます。

(実際はエコサートなどの認証機関のフィーが発生するので最低でも40万円前後は必要になります)

 

* この費用は、認証機関(CB)が監査費用と一緒に徴収し、GOTS本部へ送金します。

 

ここがポイント: 認証施設数は世界で1万以上あるため、

これが安定した運営資金(基準策定、広報、法的保護の活動費)となります。

 

2. 認証機関からの認定料

 

* 監査を行う「認証機関(例:Control Union, Ecocertなど)」自体も、

GOTSから「監査をしてよい」という許可を得るために年会費等を支払います。

 

3. アドオン・フィー(任意)

 

* 一部の化学薬剤メーカーなどが、GOTS適合リスト(Positive List)に

自社製品を登録する際に支払う審査・登録料などがあります。

 

構造上のリスクと対策

 

「認証数が増えれば増えるほどGOTS本部が儲かる」という構造は、

理論上「審査を甘くして数を増やす」インセンティブになりかねません。

そのため、GOTS本部は直接審査を行わず、

独立した第三者機関(IOASなど)が認証機関を監視するという「権力の分立」徹底しています。

 

2. 過去の「認証停止・剥奪」の具体的事例

 

GOTSは不正に対して非常に厳しい措置を取ることで知られています。

特に2020年に発覚した大規模な不正事件は業界を震撼させました。

 

事件①:インド「2万トンの偽オーガニック綿」事件(2020年)

 

これはGOTSの歴史上で最も深刻な組織的不正の一つです。

 

概要:

 

インド産の綿花において、約2万トン分(Tシャツ数千万枚分に相当)の

「偽造オーガニックコットン」が市場に流通しそうになりました。

 

手口:

 

* 詐欺グループが、インド政府の輸出証明発行機関(APEDA)のウェブサイトをクローン(偽造)しました。

 

* 偽のQRコードが付いた「偽造トランザクション証明書(TC)」を作成し、普通の綿花をオーガニックとして販売しようとしました。

 

GOTSの対応:

 

* 自ら調査を行い、偽造TCを見抜いて無効化。

 

* 関与した**インド企業11社を即時「認証禁止(Ban)」処分にしました。

 

事件②:認証機関「OneCert International」の資格剥奪(2021年)

 

これは工場ではなく、「監査する側(警察役)」が処分された衝撃的な事例です。

対象企業:OneCert International(ワンサート・インターナショナル)

 

何が起きたか:

 

OneCertは主要な認証機関の一つでしたが、GOTSおよびTextile Exchange(OCSなどの基準)の監査業務において、十分な監視能力や誠実さを欠いていると判断されました。

 

結果:

GOTSの認定機関であるIOASは、OneCertの**GOTS認証を行う権限を剥奪**しました(2021年10月)。

 

* これにより、OneCertを使って認証を受けていた数千の工場が、別の認証機関へ移行せざるを得なくなりました。

 

* 意義:「たとえ大手監査会社であっても、基準を満たさなければ切り捨てる」

というGOTSの自浄作用が機能した事例です。

 

具体的にBan(取引禁止)された企業の例

 

GOTSは公式サイトで「Banned Suppliers(禁止されたサプライヤー)」の実名を公表しています。以下はその一部です

(※これらは過去に処分を受けた企業の実例であり、現在のステータスは変動する可能性がありますが、通常2年は解除されません)。

 

企業名(国) | 処分の理由 |

 

**Beriwali Agriable LLP** (インド) | 輸送記録の偽造、架空の運送会社の使用によるGOTSシステムへの詐欺行為。

 

**Sheel Fibers** (インド) | トランザクション証明書(TC)申請における重大な不正、虚偽申告。

 

**Qingdao A&M Impex Co.** (中国) | 承認されていない原料の使用、またはトレーサビリティの欠如。

 

**Maruti Fibers** (インド) | 苦情に基づく調査の結果、組織的な詐欺活動への関与が確定。

 

なぜバレるのか?

多くのケースで「ボリューム・リコンシリエーション(量的な辻褄合わせ)」で発覚します。「10トンの綿花しか収穫していないはずの農場から、100トンのオーガニック綿が出荷されている」といった矛盾をデータベース(Global Standard Database)が検知する仕組みです。

 

まとめ:この情報から言えること

 

1. 収益構造はシンプル: 認証維持費による運営であり、特定の巨大スポンサーの言いなりにはなりにくい構造です。

 

2. 「監査する側」も監査される: OneCertの事例のように、不正を見逃した監査会社自身が市場から退場させられるリスクがあるため、監査の緊張感が保たれています。

 

3. インド・中国はハイリスク: 認証停止企業のリストを見ると、インドや中国の原材料サプライヤーが目立ちます。したがって、サプライチェーンの最上流(綿花農家〜紡績)の確認が最も重要です。

 

この「不正チェック」の要となるのが、商品が移動するたびに発行される「トランザクション証明書(TC)」です。