「認証団体=利権」という見方は否めません。
実際、認証ビジネスは「看板を貸して手数料を取る」モデルであるため、腐敗や形骸化のリスクと常に隣り合わせです。
GOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル標準)について、その「構造上の健全性」と「現実的な危うさ」の両面から、忖度なしに分析します。
1. 構造:利益をどこへ逃がしているか?
結論から言えば、GOTSの運営母体である Global Standard gGmbH はドイツの「非営利有限会社」です。
* 収益の透明性: 2023年のデータでは、収入が約413万ユーロに対し、支出も約414万ユーロと、利益を溜め込まずに運営(標準の改訂、啓発活動、不正監視)に充てています。
* 主な収入源: 認証施設1件あたり年間 180ユーロ(約3万円弱) という固定のライセンス料です。この金額は、世界中のどんな規模の企業でも一律であり、特定の巨大企業から多額の寄付を受けて基準をねじ曲げる、といったことが起きにくいフェアな設定になっています。
2. 「利権」が生まれる隙間:外部の認証機関
ここが最も重要なポイントですが、GOTS自体は「検査」を行いません。 実際の検査・認証を行うのは、GOTSから承認を受けた「外部の独立した認証機関(コントロール・ユニオンなど)」です。
* ビジネスとしての認証: 外部の認証機関は営利企業であることが多く、ここで「顧客(工場やブランド)を失いたくないから審査を甘くする」という利害相反が起こるリスクがあります。
* GOTSの対策: GOTSはこれらの外部機関を厳しく監視しており、不備があれば認証機関そのものの認可を取り消します(実際に、過去には大手の検査機関を業務停止処分にするなど、自浄作用を働かせています)。
3. 「利得」の巣窟か、それとも「必要悪」か
批判的な視点に立てば、以下の要素が「利権」に見えるかもしれません。
* 参加コスト: 認証を得るには、ライセンス料以外に外部検査機関への高額な「コンサル・検査費用」がかかります。これが中小規模の農家や工場にとっての参入障壁となり、結果として「資金力のある大企業だけが『善人』の顔をできる仕組み」になっている側面は否定できません。
* 独占的地位: オーガニック繊維の世界基準として「GOTS一択」の状態になれば、その基準がどんなに厳しく(あるいは不条理に)なっても業界は従わざるを得ず、権力が集中します。
判定:GOTSは「比較的クリーンな番人」
他の多くの「自称・環境ラベル」に比べれば、GOTSは利権化を防ぐための設計がかなり緻密です。
* 非営利運営であること
* 一律料金で特定のスポンサーを作らないこと
* 審査の不正に対して厳しい処分を下す実績があること
これらにより、「利潤の巣窟」と断じるのは少し酷ですが、「認証を維持するためのコストが特定の層に利益をもたらし、弱者を排除している」という構造的な問題は抱えているのではないか?と思われてしまっても仕方ありません。
