背景を整理すると、ユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)、しまむらなどの大手アパレルは「オーガニックコットン」を積極的に活用してきました。ただしここで問題になっているのが 「オーガニックコットンの表示や認証をどう厳格化するか」 という点です。
1. 認証の厳格化とは何か
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GOTS(Global Organic Textile Standard) や OCS(Organic Content Standard) のような国際認証は、原料の栽培~流通~製品化までサプライチェーン全体を追跡可能にします。
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日本ではこれまで「オーガニックコットン使用」と表示しても、必ずしも国際的認証が義務ではなく、割合やトレーサビリティの曖昧さが指摘されてきました。
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消費者庁や国際的な潮流として「根拠のないエコ表示(グリーンウォッシュ)」を防ぐため、認証に基づいた表示の厳格化 が議論されています。
2. 大手企業にとっての困難
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大手はグローバル規模で大量調達するため、サプライチェーンが長く複雑。
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全量をGOTS等で追跡すると、コスト増 や 調達量の制約 が生じる。
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認証コットンの供給量自体が限られているため、ユニクロやしまむら規模で「全部認証つき」にするのは難しい。
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特に「安さ」を武器にするしまむらやユニクロは、価格転嫁しにくい。
3. 「大手に配慮していないのか?」という点
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政府や国際規格は、基本的に「消費者保護」や「国際的整合性」を優先するので、大手への“特別配慮”は原則ありません。
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ただし、移行期間(グレースピリオド)を設けたり、「含有率○%以上で表示可能」などの基準を整備することで、現実的に運用できるよう調整するケースはあります。
- 実際、欧州でも段階的に規制が厳しくなってきた歴史があり、日本も追随する形です。
4. 今後の見通し
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大手は「100%認証オーガニック」への全面移行は難しいため、
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一部商品だけ認証表示
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「サステナブルコットン」など他の調達基準との併用
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表示文言の見直し(「オーガニックコットンを一部使用」など)
が進むと考えられます。
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消費者庁も「グリーンウォッシュ防止」と「産業界の実現可能性」のバランスを探っている段階です。
👉 まとめると、 「オーガニックコットン表示の厳格化」は大手にとって確かに困難 ですが、政策は「消費者保護と国際的な信頼性」を優先するため、大手だけに配慮して基準を緩めることは基本的にない。ただし実務的には移行期間や段階的導入で“現実解”を模索する、という構図です。