■ロボット開発のスターシップ・テクノロジーズは17日、キャンパス内などの出前ロボによる累計稼働実績が800万件に達したことを発表した。
初のキャンパス内展開となったバージニア州フェアファックスにあるジョージ・メイソン大学から6年以上が経過し、50ヶ所以上のキャンパスでの出前ロボが自販機のように定着している。
スターシップの出前ロボは現在、米国以外の5ヵ国でも稼働しており全体で2,000台以上が運用されているのだ。
出前ロボ実績は2024年1月には600万件を突破し、10月には700万件を達成したばかり。
多くのロボット開発スタートアップがラスト・ワン・マイル競争でテストを行っている中、スターシップは市場のリーダーシップとしてスケールしているのだ。
例えば宅配ドローン開発のジップライン(Zipline)は米国にガーナ、日本を含む7ヵ国で145万件の実績を上げている。
アルファベットの自動運転車部門であるウェイモ(Waymo)は昨年12月に500万件の実績を発表した。
その一方でスターシップはレベル4の自律走行による宅配を800万件とし、競合他社を圧倒した実績を打ち出している。
スターシップの出前ロボの累計の走行距離は1.000万マイル(1,600万キロメートル)を超え、1日あたり125,000本の道路や私道を横断しているという。
米国では特にキャンパス内の展開が顕著だ。
スターシップのデリバリーロボットは高さが55.4センチメートル、横幅が56.9センチメートル。奥行きは67.8センチメートル。重量は50ポンド(23キログラム)となる、大きめのクーラーボックスのような形状だ。
このロボットにはカメラやセンサー、制御システム、通信機器、LED、バッテリーを搭載。時速3.7マイル(6キロメートル)で走行し6つの車輪で風・雨の強い日でも稼働できるようになっている。
上部にあるカバーを開けると注文品を入れるスペースが用意されており最大22ポンド(10キログラム)を運ぶことができる。
スターシップの容量は食品スーパーの買い物袋で1台3袋程度の容量となる。配達場所はキャンパス内の場合、指定した場所がピックアップポイントとなり(キャンパスに広さにもよるが)注文から20分以内に学食のファストフードなどから配達する。
なおスターシップのロボット配達を利用するには専用のアプリを使用することになる。アプリでピザなどを注文し、注文品を受け取るピックアップポイントをアプリ上のキャンパスマップにピンで指定する。
ロボットの動きはアプリからモニターできるようになっており、ピックアップポイントに到着するとアプリに通知が届くようにもなっているのだ。
受け取りはアプリを操作しカバーを開錠し注文品をピックアップする。自動走行だが専門スタッフがモニターも行っているという。
オンデマンド・ロボット配達サービスの手数料は3.09ドル。
一方、受注側となるレストランでもロボ出前のプロセスは単純だ。受注すると注文ラベルがプリントアウトされる。
ラベルのバーコードをスキャン後、調理を開始。出来あげれば店の前に待機している出前ロボのQRコードをスキャンし蓋を開けて注文品を入れるだけだ。あとは自動的に注文品を注文者に届けることになる。
手数料は年々値上げされているものの、直近では決済前の電話番号を入力する確認作業は省かれカスタマージャーニーも洗練されてきている。
調査会社のトランスフォーマ・インサイト(Transforma Insights)によると出前ロボやドローン宅配などの配送ロボットの世界市場は2022年~2032年に年平均成長率64%で拡大し、10年後にはロボット総数が470万台に達するとの予想だ。
ロサンゼルス市内を走っているとサイドウォーク型の出前ロボも頻繁に目撃する。日本人観光客が移動車から目にする感想「歩道に全く人が歩いていない」から「歩道は出前ロボだらけ」に変わっていくのだろう。
トップ画像:スターシップの出前ロボ(約2,000台)の累計の走行距離は1.000万マイル(1,600万キロメートル)を超え、出前実績も800万件となっている。