1. 価格の壁を下げる施策
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補助金・税制優遇
有機認証農家に対する直接支払い、設備投資補助、肥料・堆肥など資材コスト補助。
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物流・流通コスト削減
JAや商社を通さず、直販や共同配送を広げる。自治体レベルで「有機農産物の共同集荷拠点」を作る。
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学校給食や病院での導入
公的調達に有機農産物を組み込むことで安定需要を作り、価格を下げやすくする。
2. 消費者の信頼と理解を高める施策
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表示の厳格化・統一化
「オーガニック」「有機」「自然栽培」など曖昧な表現を整理し、消費者が安心して選べるようにする。
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教育・広報キャンペーン
学校教育や公共広告で「オーガニック=環境や健康への意味」を伝える。ヨーロッパでは学校で自然保護や食育と一緒に学ばせている例あり。
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トレーサビリティのデジタル化
QRコードで生産者や栽培履歴を表示。ブロックチェーン活用も検討できる。
3. 生産者側の参入障壁を下げる施策
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有機JAS認証の簡素化・低コスト化
認証取得費用や事務負担が高いため、共同認証制度や国・自治体の負担軽減を拡充。
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転換期支援(オーガニック・イン・コンバージョン)
3年間の移行期に収入が落ちるので、その間の補助や販売支援を拡充。
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地域ごとのオーガニック特区
行政が有機農業のモデル地区をつくり、農家・流通・消費者が循環する仕組みを整える。
4. 市場拡大のための施策
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外食産業・コンビニへの導入
「オーガニック弁当」「有機野菜のサラダ」などを日常的に手に取れるようにする。
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大手流通の巻き込み
イオン、セブン&アイ、コープなど大手小売がオーガニックPBを拡充し、棚を確保する。
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輸入品と国産のバランス
当面は輸入オーガニックでボリュームを確保しつつ、国産オーガニックをブランド化して付加価値を高める。
5. 長期的・構造的な施策
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農業政策の転換
化学肥料や農薬依存の補助金体系を見直し、有機農業や環境配慮型農業にシフト。
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国の数値目標
EUは「2030年までに耕地の25%をオーガニック」にする戦略を持つ。日本も同じように国家目標を強く示す必要。
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地域コミュニティの支援
CSA(コミュニティ支援型農業)の仕組みを広げ、消費者と農家を直接つなぐ。
✅ まとめると、
日本でオーガニック食品を広めるには 価格・認証・需要の三つの壁を同時に下げる 必要があります。短期的には「給食や大手流通を巻き込んで安定需要を作る」、中期的には「認証制度の改善と生産支援」、長期的には「農政の方向転換」が鍵になると思います。